【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =098=

2018-09-30 12:06:30 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

 第6話  JAMSTECの拳―天帝編― 

◇◆ 「生命の起源」研究は別腹で! =2/3= ◆◇

熱水ごとに異なる生態系

ボクのそれまでの研究では、沖縄トラフ(南西諸島の西側に沿った東シナ海の海域)の伊平屋北、伊平屋凹地、さらに伊豆小笠原弧の明神海丘、水曜海山といった熱水活動域の熱水やチムニー中の微生物が対象だった。実は、それらの微生物多様性の比較をしているうちに、同じような熱水噴出孔チムニーであっても、それぞれの熱水フィールドで生息する微生物群集(多様な微生物集団)は大きく違っていることに、ボクは大いに興味を覚えたのだ。

そして、アメリカに2回目の留学をしている時に研究していたテーマも、地下微生物群集が、その生息環境の物理・化学的条件(特に微生物のエネルギー獲得のために用いられる化学物質の存在量や分布パターン)に強くコントロールされるという地球微生物学的研究だった。

 それは、深海熱水の微生物にも応用できそうだった。 「もしかして、深海熱水における微生物生態系の多様性は、噴き出している熱水の化学条件によってコントロールされているのでは?」

 アメリカ滞在中から、ボクは日本に帰ったら、そのテーマについてぜひ研究してみたいと考えていたのだった。これなら、現在の熱水の微生物について十分価値のある主食的研究ができるだろうし、もしかしたら過去の深海における生命の誕生についても別腹的な成果が得られるかも、と期待できた。

ただ、現実的かつ生産的テーマとはいえ、このテーマに取り組むには微生物学の範囲を超えた、分野を横断した研究が必要だった。

アメリカで滞在していたパシフィックノースウエスト国立研究所では、様々な微生物学者と地球化学者が近くに実験室を構え、密接に関わり合いながら一つの研究テーマを追求していたので、そのような分野横断型研究が可能だった。

 しかし、それまで微生物学、あるいは広い意味での生物学しか知らなかったボクが、JAMSTECに戻って深海熱水の物理・化学的性質まで網羅・理解する必要があるその研究をどこまで展開できるかについては、かなり自信がなかったのも事実だった。

 そんなボクの唯一の頼みの綱は、渡米する前にJAMSTEC主催のシンポジウムで議論したことがある当時九州大学理学研究科の准教授だった(今も)石橋純一郎さんという、バブル期に流行したと思われる時代遅れのぶっとい黒いセルロイド縁の眼鏡をかけた(今も)特徴のある容姿をした若き熱水化学者だった。後から知った話だけれども、石橋さんは「深海熱水」の化学研究で博士号を取った日本最初の深海熱水博士だった。

 当時その分野では、「石橋の右に出る者はなし」と言われていてもおかしくはなかったはずで(今ではずいぶん前後左右に雨後の筍のごとく出没を許しているようだが)、それなりに偉ぶっていても良かったはずだが、本格的な深海熱水研究を始めて1年ちょっとのモノ知らずの微生物学研究者だったボクに、石橋さんはものすごくフランクに濃密な議論をしてくれたんだ。

= 母船「よこすか」と潜水調査船「しんかい6500」 (5/6) =

 各種カメラと、折りたたまれた猫の前足のようなものに各種カメラを備えた突出物は、マニピュレータだ。これで、深海の生物などを捕獲するのである。マニピュレータの操縦も、パイロットの仕事だ。

 小倉さんが言った。 「私はあんまりマニピュレータの操縦が上手くないんで、船ごと持っていくようにしています」

 え?

「ターゲットのある程度近くまで行って、そこでマニピュレータを操縦するのではなく、マニピュレータがターゲットの目の前に行くように船を操縦して、あとはつかむだけにするんです」 高速道路や駐車場での発券を思い出す。

腕を伸ばさなくていいようにと、車ごとぴたっと近付ける方が、よっぽど難しいではないですか!

車の運転と、しんかい6500の操縦とは似ていますか。車の運転が上手いと、しんかい6500の操縦も上手いとか。

マニピュレータの操縦は上手くないので

 腕を伸ばさなくていいようにと、車ごとぴたっと近付ける方が、よっぽど難しいではないですか!車の運転と、しんかい6500の操縦とは似ていますか。車の運転が上手いと、しんかい6500の操縦も上手いとか。「車で言う車幅感覚のようなものは大事ですけど、でも、車にはz軸方向の動きはないでしょう」

 縦の動きである。 はい、確かに。 「z軸方向で、どこに自分がいるのかわからなくなるというのは、地上では経験ができませんよね。だから感覚としては、車の運転より、スキューバ・ダイビングの方が近いですね」 ・・・・・・・なるほど、そうですか。

「あと、私らは、研究者が探しているものを、研究者より先に見つけないとならないです」

 どういうことですか?

「研究者が何かを見つけて、ストップをかけてからでは、遅いんです」  急には止まれない。 「バックもできますが、そうすると、視界に泥などが舞ってしまうので、できるだけバックはしないようにしています」

 なるほど。気を遣いますね。

 そろそろ、しんかい6500はどうやって動かすのかを、教えていただけませんか。ハンドルとアクセル、ブレーキですか? それとも、飛行機のように、操縦桿があるんですか?

「これです」

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 「海」はどのくらい深い?

  

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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